インターネット広告費>雑誌広告費
電通さんが発表の2007年 日本の広告費によると、インターネット広告費が雑誌広告費を超えたそうだ。
最近、雑誌のメディアレップの方とお話したところによると雑誌の集稿の厳しさは相当なものらしい。
しかも悪いことに、厳しい厳しいという噂を聞いたクライアントが
「いま、そんなに雑誌の状況は悪いのか」
と、出稿を控えるような例まで出そうな勢いだという。メディアレップの方は
「あんまり、悪い、悪いって話ばっかり、しないでほしいです。噂がさらに環境を悪くしてます」
と嘆いていた。
最近、女性雑誌の方と話をする機会もあるのだが、聞いてみると雑誌がすべて一律に落ち目、というわけではないらしい。
売れている雑誌はこの環境の中でもきちんと発行部数・売り上げを伸ばしているのだという。
テレビも雑誌もそっちのけでケータイしか見なくなった、と噂されるティーンエージャーを対象とした雑誌であっても伸びているものは伸びている。
つまり、落ち目になっているのは「暇つぶし」程度に読まれていたようなものなのだろう。
もっともメディアの特徴を考えると、雑誌とネットの勝負ではネットが圧倒的に有利だ。
[ネットメディアの対利用者アドバンテージ]
このハンデをしてなお「読みたい」と思われる雑誌は生き残るが、そうでなければ売れなくなる。
雑誌の凋落は「読者の嗜好の変化」ではなくて、「メディアの代替わり」「淘汰」のプロセスなのだ。
また広告集稿に限定すれば、ネットはこんな優位性をも持つ。
雑誌は販売部数をアップさせるだけでなく、広告の企画や質までケアできる体制を持っていないと、ネットに伍してゆくことができないということになる。
また、日本国民のネットリテラシーがアップすればするだけ、これらネットのアドバンテージがどんどん顕在化してくるのだから、たまったものではない。
しかし「雑誌にあって、ネットにはないもの」だってある。
メディアのサイズと画像クオリティ、紙をめくるという動作、隠れた魅力や気付かなかった強み(個人的には、雑誌のインクのにおいが好きだ・笑)、物理的な流通を利用しているというビジネスインフラ……などなど、作り手が意識を変えれば面白い広告企画はできるはずだ。
ネットに喰われているのなら、雑誌側からネットのフィールドに進出すればいい。
たとえば「クロスメディア広告」の仕掛けの多くはネット側から企画されているように思われる。
しかし、ネットメディアしか知らない若者に雑誌の企画広告を仕切れるわけがない。
実際、ネットと連動する雑誌企画のクオリティは、時に噴飯ものの仕上がりではないか。
雑誌を作ってきた者たちからネット世代の知見を柔軟に汲んでプロの仕事をする、……ここに勝機があると読んでいる。