モバイルのCRM
- 作者: 村山徹,三谷宏治,アクセンチュア,CRMグループ,戦略グループ
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2001/07/01
- メディア: 単行本
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crmマーケティング戦略―顧客と共に (Best solution)
- 作者: 三谷宏治,アクセンチュア戦略グループ CRMグループ
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2003/08
- メディア: 単行本
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装丁も、テーマもそっくりな本だが、
内容は相当ちがう。
しかしモバイルマーケティングに関わる人にはぜひ読んでおいてほしいテキストだ。
大文字の「CRM」本はCRMの基本的な考え方のおさらいと業界別のアプローチの方向性を教授してくれる、教科書的なコンテンツ。
小文字の「crm」本は、CRMの中でもとくにeCRMの事例を多く紹介し、これからの時代のCRMのあり方や可能性を紹介している。
どちらもタイトルには一言も言及がないが、実はモバイルを活用したCRMの重要性が説かれており、小文字の「顧客と共に」本ではかなりのページを割いて解説している。
大手コンサルティングファームがここまでモバイルを研究しているのかと、個人的にはけっこう驚いた。
もっともモバイルインターネットが「個人のコミュニケーションプラットフォーム」であり、日本に限って言えばほぼ全員が手にしているシロモノである以上、CRMのツールとして上手に活用されれば効果が出ないわけがない。
基本的なところで言えば、来店時にCRM施策用の顧客カードや割引クーポンをうっかり忘れて来る人は少なくないだろうが、携帯電話を持ってくるのを忘れたという人の率ははるかに低いだろう。
また「顧客」としてひとくくりで捕えていた対象を、モバイルを介して「個客」として捕えることができ、CRMシステムと連動してone to one編集されたコンテンツをモバイルメールとして即送信することができるのだ。
まるでCRMの実証実験のためのしくみのようではないか。
…もっとも、モバイルを「新型のチラシ」として利用していると、思わぬしっぺ返しを食らう。
モバイルメールはPCと違って「無視することができない」。
そのため、ハートをキャッチできるとものすごい効果が出る。アパレルのモバイル通販の成功はこの一例だろう。
逆に、不要だと判断されると利用者は容赦なくサービスを解除する。
そこで、モバイルのCRMではユーザーを飽きさせない「エンタメ性」や「物語」「特別感」が重要だ、となるわけだ。
ここまで来ると、もうe-CRMの話題の範疇を超えるように思われる。
雑誌やゲーム制作のような、コンテンツ編集の視点が必要になるのだ。
モバイルによるeCRMがより進化してゆく過程で、
Customer Relationship Management の一つの分野として
Customer Emotion Management が語られる日は近い、と読んでいる。