「売れる雑誌」にはCGC編集力がある

最近、雑誌の編集の方とミーティングが連続している。

いずれも、この雑誌不況の中、特定読者層に売れに売れている人気雑誌だ。
その秘密はなにか? と興味を持たずにはいられない。
お話を伺っていると、読者との意識チューニング力がハンパではない。
とにかく読者のことをよく理解しようとしているし、
実際によく知っているのだ。


わたしも情報誌の編集上がりである。
その情報誌は最初「上から目線」の記事がメインにしていて部数が伸び悩んでいた。
ところが読者の体験談を紹介する記事を中心に据えるようになってから
爆発的に部数が伸びた。

毎月300〜500通のアンケートを読者に向けて発送し、
そこから出てくる定性コメントを100〜200読み込むようなことをしていると、
そのある空気感というか、コメントとコメントのはざまにある
文字にならない読者の声が浮かび上がってくるのだ。

「え? みんな、そんなことに悩んでいるのか」とか、
「こういうニーズが市場に生まれつつあるのか」など、

その声はときに意外な方向性のものだったりする。
しかしそういう、エッジーなところを突いて記事にすると
読者にウケた。



いま、モバイル活用でお話をしている編集部はいずれも
読者とのコミュニケーションのツールとしての「ケータイ」に注目している方々だ。

モバイルは誰もがいつでも持っているデジタルメディア。
アンケートを郵送するかわりにコメントを拾うことができるし
(しかも低コストで!)

SNSなどのCGCシステムを利用すれば自律的に読者が質問スレや
コミュニティを立ててくれる。
アンケート設計の手間いらずで、自動運転的に
読者たちのコメントがアップされ、
編集者はそこから「声にならぬ声」を拾うということもできる。


その「きざし」を記事という形に仕上げ、
読者にフィードバックし、読者とのグルーブを作り上げる。
そういう「メディアを通じたコラボ」が読者にとってはたまらなく面白い。
メディアの粘着性を高めるのだ。
モバイルの使い方として、とても筋が通っていると思う。
広告企画や通販企画を盛り上げるのは、そういう作業の後である。


売れる雑誌の編集部は、モバイルに詳しいわけではないのに、
最初からそういう可能性に気づいている。
CGCの本質を見抜いている。
さすがだと思う。
その見識が「売れる雑誌」と「売れない雑誌」を分けるのだ。


逆に、販売部数が伸び悩んでいるから、と
収入を増やすために通販ページを作るような対策は、
むしろメディアの死期を早めるのではないかとも思う。